法令における漢字使用等について

新規制定平成22年11月30日内閣法制局長官決定・平成22年内閣法制局総総第208号
本件改正(情報なし)

漢字使用について

1法令における漢字使用は,次の2から6までにおいて特別の定めをするもののほか,「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号。以下「常用漢字表」という。)の本表及び付表(表の見方及び使い方を含む。)並びに「公用文における漢字使用等について」(平成22年内閣訓令第1号)の別紙の1「漢字使用について」の2によるものとする。また,字体については,通用字体を用いるものとする。

なお,常用漢字表により漢字で表記することとなったものとしては,次のようなものがある。

挨拶宛先椅子咽喉隠蔽覚醒
玩具毀損亀裂禁錮拳銃勾留
失踪焼酎処方箋腎臓進捗整頓脊柱
遡及堆積貼付賭博剝奪破綻汎用
氾濫払拭閉塞捕捉補塡哺乳類
蜜蜂明瞭湧出拉致賄賂関わる鑑みる
遡る全て

2「常用漢字表」の本表に掲げる音訓によって語を書き表すに当たっては,次の事項に留意する。

次のような代名詞は,原則として,漢字で書く。

我々

次のような副詞及び連体詞は,原則として,漢字で書く。

例(副詞)

余り至って大いに恐らく概して必ず必ずしも
辛うじて極めて殊に更に実に少なくとも少し
既に全て切に大して絶えず互いに直ちに
例えば次いで努めて常に突然初めて
果たして甚だ再び全く無論最も専ら僅か
割に

(連体詞)

明くる大きな来る去る小さな我が(国)

ただし,次のような副詞は,原則として,仮名で書く。

かなりふとやはりよほど

次の接頭語は,その接頭語が付く語を漢字で書く場合は,原則として,漢字で書き,その接頭語が付く語を仮名で書く場合は,原則として,仮名で書く。

案内(御+案内)挨拶(御+挨拶)
ごもっとも(ご+もっとも)

次のような接尾語は,原則として,仮名で書く。

げ(惜しもなく)ども(私どもぶる(偉ぶる
み(弱め(少な

次のような接続詞は,原則として,仮名で書く。

おってかつしたがってただしついてはところが
ところでまたゆえに

ただし,次の4語は,原則として,漢字で書く。

及び並びに又は若しくは

助動詞及び助詞は,仮名で書く。

ない(現地には,行かない。)
ようだ(それ以外に方法がないようだ。)
ぐらい(二十歳ぐらいの人)
だけ(調査しただけである。)
ほど(三日ほど経過した。)

次のような語句を, ()の中に示した例のように用いるときは,原則として,仮名で書く。

ある(その点に問題がある。)
いる(ここに関係者がいる。)
こと(許可しないことがある。)
できる(だれでも利用ができる。)
とおり(次のとおりである。)
とき(事故のときは連絡する。)
ところ(現在のところ差し支えない。)
とも(説明するとともに意見を聞く。)
ない(欠点がない。)
なる(合計すると1万円になる。)
ほか(そのほか…,特別の場合を除くほか…)
もの(正しいものと認める。)
ゆえ(一部の反対のゆえにはかどらない。)
わけ(賛成するわけにはいかない。)
かもしれない(間違いかもしれない。)
てあげる(図書を貸してあげる。)
ていく(負担が増えていく。)
ていただく(報告していただく。)
ておく(通知しておく。)
てください(問題点を話してください。)
てくる(寒くなってくる。)
てしまう(書いてしまう。)
てみる(見てみる。)
てよい(連絡してよい。)
にすぎない(調査だけにすぎない。)
について(これについて考慮する。)

2次のものは,常用漢字表により,)の中の表記ができることとなったが,引き続きそれぞれ下線を付けて示した表記を用いるものとする。

壊滅(潰滅)壊乱(潰乱)決壊(決潰)
広範(広汎)全壊(全潰)倒壊(倒潰)
破棄(破毀)崩壊(崩潰)理屈(理窟)

3次のものは,常用漢字表により,下線を付けて示した表記ができることとなったので,)の中の表記に代えて,それぞれ下線を付けて示した表記を用いるものとする。

臆説(憶説)臆測(憶測)肝腎(肝心)

4次のものは,常用漢字表にあるものであっても,仮名で表記するものとする。


恐れ

おそれ

且つ

かつ

従って(接続詞)

したがって

但し

ただし

但書

ただし書


ほか

また(ただし,「または」は「又は」と表記する。)

因る

よる

5常用漢字表にない漢字で表記する言葉及び常用漢字表にない漢字を構成要素として表記する言葉並びに常用漢字表にない音訓を用いる言葉の使用については,次によるものとする。

専門用語等であって,他に言い換える言葉がなく,しかも仮名で表記すると理解することが困難であると認められるようなものについては,その漢字をそのまま用いてこれに振り仮名を付ける。

【例】

きょあん瑕疵かしきょかんかん

次のものは,仮名で表記する。

拘わらず

かかわらず

この

これ

その

煙草

たばこ

ため

以て

もって

等(ら)

猥褻

わいせつ

仮名書きにする際,単語の一部だけを仮名に改める方法は,できるだけ避ける。

【例】

斡旋

あっせん(「あっ旋」は用いない。)

煉瓦

れんが(「れん瓦」は用いない。)

ただし,次の例のように一部に漢字を用いた方が分かりやすい場合は,この限りでない。

【例】

あへん煙えん堤救じゅつ橋りょうし尿
出えんじん肺ため池ちんでん池でん粉
てん末と畜ばい煙排せつ封かんへき地
らく印漏えい

常用漢字表にない漢字又は音訓を仮名書きにする場合には,仮名の部分に傍点を付けることはしない。

6次のものは,)の中に示すように取り扱うものとする。

  • 首(用いない。「あいくち」を用いる。)
  • 棄(用いない。)
  • 慰藉料(用いない。「慰謝料」を用いる。)
  • 水(用いない。)
  • 背(用いない。「違反」を用いる。)
  • 顆(用いない。)
  • 滅(用いない。「隠滅」を用いる。)
  • 地(用いない。「園地」を用いる。)
  • 穢(用いない。)
  • 止(用いない。)
  • 示(用いない。)
  • 燼(用いない。)
  • 訂・定(「改訂」は書物などの内容に手を加えて正すことという意味についてのみ用いる。それ以外の場合は「改定」を用いる。)
  • 披(用いない。)
  • 保(用いない。)
  • 解(用いない。)
  • 守(用いない。)
  • 守(用いない。「保管」を用いる。)
  • 穽(用いない。)
  • 与・預(用いない。「関与」を用いる。)
  • 捐(用いない。)
  • 鑵(用いない。「ボイラー」を用いる。)
  • 監(特別な理由がある場合以外は用いない。)
  • 正・整・制(「規正」はある事柄を規律して公正な姿に当てはめることという意味についてのみ,「規整」はある事柄を規律して一定の枠に納め整えることという意味についてのみ,それぞれ用いる。それ以外の場合は「規制」を用いる。)
  • 束(用いない。)
  • 水(用いない。「喫水」を用いる。)
  • 程(法令の名称としては,原則として用いない。「規則」を用いる。)
  • 瞞(用いない。)
  • 罔(用いない。)
  • 隘(用いない。)
  • 応(用いない。「供応」を用いる。)
  • 愕(用いない。)
  • 艙(用いない。「魚倉」を用いる。)
  • 律(特別な理由がある場合以外は用いない。「規律」を用いる。)
  • 空気槽(用いない。「空気タンク」を用いる。)
  • 有(用いない。)
  • 船(用いない。「係船」を用いる。)
  • 属(用いない。「係属」を用いる。)
  • 理(用いない。「経理」を用いる。)
  • 留(用いない。「係留」を用いる。)
  • 怠(用いない。)
  • 連(用いない。「関連」を用いる。)
  • 渠(特別な理由がある場合以外は用いない。)
  • 交叉点(用いない。「交差点」を用いる。)
  • 代(用いない。「交代」を用いる。)
  • 報(用いない。「広報」を用いる。)
  • 牌(用いない。「かるた類」を用いる。)
  • 扉(用いない。)
  • 謬(用いない。)
  • 偽(用いない。「偽り」を用いる。)
  • 井(用いない。)
  • 製・成(「作製」は製作(物品を作ること)という意味についてのみ用いる。それ以外の場合は「作成」を用いる。)
  • の(「次の」という意味では用いない。)
  • 鑰(用いない。)
  • 撒水管(用いない。「散水管」を用いる。)
  • 趣(用いない。「趣旨」を用いる。)
  • 条(用いない。)
  • 魁(用いない。「首謀者」を用いる。)
  • 精(用いない。「アルコール」を用いる。)
  • 髯(用いない。)
  • 化(用いない。「純化」を用いる。)
  • 功(特別な理由がある場合以外は用いない。「完成」を用いる。)
  • 痍(用いない。)
  • 燬(用いない。)
  • 却(用いない。「消却」を用いる。)
  • 況(特別な理由がある場合以外は用いない。「状況」を用いる。)
  • 頭(用いない。「マストトップ」を用いる。)
  • 標(用いない。)
  • 憑・拠(用いない。「証拠」を用いる。)
  • 壁(用いない。)
  • 埃(用いない。)
  • 芥(用いない。)
  • 蝕(用いない。「侵食」を用いる。)
  • 規(用いない。)
  • 用(用いない。「盗用」を用いる。)
  • 渠(用いない。「ドック」を用いる。)
  • 滌(用いない。「洗浄」を用いる。)
  • 窃(用いない。)
  • 轄(用いない。「総括」を用いる。)
  • 齬(用いない。)
  • 明(用いない。「疎明」を用いる。)
  • 密(用いない。)
  • 事(用いない。「通訳人」を用いる。)
  • 定繫港(用いない。「定係港」を用いる。)
  • 示(用いない。「提示」を用いる。)
  • 年(用いない。「定年」を用いる。)
  • 印(用いない。「押印」を用いる。)
  • 淫(用いない。「売春」を用いる。)
  • 付・布(「配付」は交付税及び譲与税配付金特別会計のような特別な場合についてのみ用いる。それ以外の場合は「配布」を用いる。)
  • 殖(用いない。「繁殖」を用いる。)
  • 図(用いない。)
  • 毀(用いない。)
  • 此(用いない。)
  • 示(特別な理由がある場合以外は用いない。「表示」を用いる。)
  • 乱(用いない。)
  • 綴(用いない。)
  • 室(用いない。)
  • 脹(用いない。「膨張」を用いる。)
  • 例(用いない。)
  • 助(用いない。「補助」を用いる。)
  • 満限に達する(特別な理由がある場合以外は用いない。「満了する」を用いる。)
  • 恕(用いない。)
  • 贏(用いない。)
  • 越(用いない。)
  • 槽(用いない。「油タンク」を用いる。)
  • 磐(用いない。「落盤」を用いる。)
  • 臨検・立入検査(「臨検」は犯則事件の調査の場合についてのみ用いる。それ以外の場合は「立入検査」を用いる。)
  • 佑(用いない。)
  • 狽(用いない。)
  • 諧(用いない。「和解」を用いる。)

送り仮名の付け方について

(1)単独の語

活用のある語は,「送り仮名の付け方」(昭和48年内閣告示第2号の「送り仮名の付け方」をいう。以下同じ。)の本文の通則1の「本則」・「例外」及び通則2の「本則」の送り仮名の付け方による。

通則1

本則

活用のある語(通則2を適用する語を除く。)は,活用語尾を送る。

〔例〕
きるれるえるける

例外

1語幹が「し」で終わる形容詞は,「し」から送る。

〔例〕しいしいしいしいしい

2活用語尾の前に「か」,「やか」,「らか」を含む形容動詞は,その音節から送る。

〔例〕
やかやかやか
らからからからか

3次の語は,次に示すように送る。

す(おどかす)
す(おびやかす)



(注意)

語幹と活用語尾との区別がつかない動詞は,例えば,「着」,「寝」,「来」などのように送る。

通則2

本則

活用語尾以外の部分に他の語を含む語は,含まれている語の送り仮名の付け方によって送る。(含まれている語を〕の中に示す。)

〔例〕1動詞の活用形又はそれに準ずるものを含むもの。

動かす〔動く〕照らす〔照る〕
語らう〔語る〕計らう〔計る〕向かう〔向く〕
浮かぶ〔浮く〕
生まれる〔生む〕押さえる〔押す〕捕らえる〔捕る〕
勇ましい〔勇む〕輝かしい〔輝く〕喜ばしい〔喜ぶ〕
晴れやかだ〔晴れる〕
及ぼす〔及ぶ〕積もる〔積む〕聞こえる〔聞く〕
頼もしい〔頼む〕
起こる〔起きる〕落とす〔落ちる〕
暮らす〔暮れる〕冷やす〔冷える〕
当たる〔当てる〕終わる〔終える〕変わる〔変える〕
集まる〔集める〕定まる〔定める〕連なる〔連ねる〕
交わる〔交える〕
混ざる・混じる〔混ぜる〕
恐ろしい〔恐れる〕

2形容詞・形容動詞の語幹を含むもの。

んずる〔重い〕やぐ〔若い〕
怪しむ〔怪しい〕悲しむ〔悲しい〕苦しがる〔苦しい〕
確かめる〔確かだ〕
たい〔重い〕らしい〔憎い〕めかしい〔古い〕
細かい〔細かだ〕柔らかい〔柔らかだ〕
らかだ〔清い〕らかだ〔高い〕寂しげだ〔寂しい〕

3名詞を含むもの。

ばむ〔汗〕んずる〔先〕めく〔春〕
らしい〔男〕後ろめたい〔後ろ〕

(注意)

次の語は,それぞれ〕の中に示す語を含むものとは考えず,通則1によるものとする。

明るい〔明ける〕荒い〔荒れる〕悔しい〔悔いる〕恋しい〔恋う〕

活用のない語は,「送り仮名の付け方」の本文の通則3から通則5までの「本則」・「例外」の送り仮名の付け方による。

[備考]表に記入したり記号的に用いたりする場合には,次の例に示すように,原則として,)の中の送り仮名を省く。

【例】

晴(れ)曇(り)問(い)答(え)終(わり)
生(まれ)

通則3

本則

名詞(通則4を適用する語を除く。)は,送り仮名を付けない。

〔例〕

例外

1次の語は,最後の音節を送る。

便

2数をかぞえる「つ」を含む名詞は,その「つ」を送る。

〔例〕

通則4

本則

活用のある語から転じた名詞及び活用のある語に「さ」,「み」,「げ」などの接尾語が付いて名詞になったものは,もとの語の送り仮名の付け方によって送る。

〔例〕1活用のある語から転じたもの。

調
たりわりかい


2「さ」,「み」,「げ」などの接尾語が付いたもの。

暑さ
重み

例外

次の語は,送り仮名を付けない。



掛(かかり)並(なみ)

(注意)

ここに掲げた「組」は,「花の組」,「赤の組」などのように使った場合の「くみ」であり,例えば,「活字の組みがゆるむ。」などとして使う場合の「くみ」を意味するものではない。「光」,「折」,「係」なども,同様に動詞の意識が残っているような使い方の場合は,この例外に該当しない。したがって,本則を適用して送り仮名を付ける。

通則5

本則

副詞・連体詞・接続詞は,最後の音節を送る。

〔例〕

例外

1次の語は,次に示すように送る。

くるいにちにびにしくは

2次の語は,送り仮名を付けない。

3次のように,他の語を含む語は,含まれている語の送り仮名の付け方によって送る。(含まれている語を〕の中に示す。)

〔例〕併せて〔併せる〕至って〔至る〕恐らく〔恐れる〕従って〔従う〕絶えず〔絶える〕例えば〔例える〕努めて〔努める〕
辛うじて〔辛い〕少なくとも〔少ない〕
互いに〔互い〕
必ずしも〔必ず〕

2複合の語

イに該当する語を除き,原則として,「送り仮名の付け方」の本文の通則6の「本則」の送り仮名の付け方による。ただし,活用のない語で読み間違えるおそれのない語については,「送り仮名の付け方」の本文の通則6の「許容」の送り仮名の付け方により,次の例に示すように送り仮名を省く。

【例】

明渡し預り金言渡し入替え植付け魚釣用具
受入れ受皿受持ち受渡し渦巻打合せ
打合せ会打切り内払移替え埋立て売上げ
売惜しみ売出し売場売払い売渡し売行き
縁組追越し置場贈物帯留折詰買上げ
買入れ買受け買換え買占め買取り買戻し
買物書換え格付掛金貸切り貸金貸越し
貸倒れ貸出し貸付け借入れ借受け借換え
刈取り缶切期限付切上げ切替え切下げ
切捨て切土切取り切離し靴下留組合せ
組入れ組替え組立てくみ取便所繰上げ
繰入れ繰替え繰越し繰下げ繰延べ繰戻し
差押え差止め差引き差戻し砂糖漬下請
締切り条件付仕分据置き据付け捨場
座込み栓抜備置き備付け染物田植
立会い立入り立替え立札月掛付添い
月払積卸し積替え積込み積出し積立て
積付け釣合い釣鐘釣銭釣針手続問合せ
届出取上げ取扱い取卸し取替え取決め
取崩し取消し取壊し取下げ取締り取調べ
取立て取次ぎ取付け取戻し投売り抜取り
飲物乗換え乗組み話合い払込み払下げ
払出し払戻し払渡し払渡済み貼付け引上げ
引揚げ引受け引起し引換え引込み引下げ
引締め引継ぎ引取り引渡し日雇歩留り
船着場不払賦払振出し前払巻付け
巻取り見合せ見積り見習未払申合せ
申合せ事項申入れ申込み申立て申出持家
持込み持分元請戻入れ催物盛土焼付け
雇入れ雇主譲受け譲渡し呼出し読替え
割当て割増し割戻し

通則6

本則

複合の語(通則7を適用する語を除く。)の送り仮名は,その複合の語を書き表す漢字の,それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名の付け方による。

〔例〕1活用のある語

わせるかいわせる長引若返裏切旅立
しい薄暗草深心細しい軽々しい若々しい女々しい
気軽

2活用のない語

石橋竹馬山津波姿花便卸商水煙目印
田植封切物知落書雨上がり墓参日当たり夜明かし先駆巣立手渡
わせかり
寒空深情

らしり変わり
長生早起大写
難み
乳飲無理強居振電話
次々常々
近々深々

許容

読み間違えるおそれのない場合は,活用語尾以外の部分について,次の)の中に示すように,送り仮名を省くことができる。

〔例〕
ぶ〔浮ぶ〕れる〔生れる〕える〔押える〕
える〔捕える〕やかだ〔晴やかだ〕
る〔積る〕える〔聞える〕
る〔起る〕す〔落す〕す〔暮す〕る〔当る〕
る〔終る〕る〔変る〕

(注意)

「こけら落とし(こけら落し)」,「さび止め」,「洗いざらし」,「打ちひも」のように前又は後ろの部分を仮名で書く場合は,他の部分については,単独の語の送り仮名の付け方による。

活用のない語で慣用が固定していると認められる次の例に示すような語については,「送り仮名の付け方」の本文の通則7により,送り仮名を付けない。

【例】

合図合服合間預入金編上靴植木
(進退)伺浮袋浮世絵受入額受入先
受入年月日請負受付受付係受取受取人
受払金打切補償埋立区域埋立事業埋立地
裏書売上(高)売掛金売出発行売手売主
売値売渡価格売渡先絵巻物襟巻沖合
置物奥書奥付押売押出機覚書
(博多)織折返線織元織物卸売買上品
買受人買掛金外貨建債権概算払買手買主
買値書付書留過誤払貸方貸越金貸室
貸席貸倒引当金貸出金貸出票貸付(金)
貸主貸船貸本貸間貸家箇条書貸渡業
肩書借入(金)借受人借方借越金刈取機
借主仮渡金缶詰気付切手切符
切替組合員切替日くじ引組合組入金組立工
倉敷料繰上償還繰入金繰入限度額繰入率
繰替金繰越(金)繰延資産消印月賦払
現金払小売小売(商)小切手木立小包
子守献立先取特権作付面積挿絵
差押(命令)座敷指図差出人差引勘定
差引簿刺身試合仕上機械仕上工仕入価格
仕掛花火仕掛品敷網敷居敷石敷金敷地
敷布敷物軸受下請工事仕出屋仕立券
仕立物仕立屋質入証券支払支払元受高字引
仕向地事務取扱事務引継締切日所得割
新株買付契約書据置(期間)(支出)済(額)関取
備付品(型絵)染ただし書立会演説立会人
立入検査立場竜巻立替金立替払建具
建坪建値建前建物棚卸資産
(条件)付(採用)月掛貯金付添人漬物
積卸施設積出地積立(金)積荷詰所釣堀
手当出入口出来高払手付金手引手引書
手回品手持品灯台守頭取(欠席)届
留置電報取扱(所)取扱(注意)取入口取替品
取組取消処分(麻薬)取締法取締役取立金
取立訴訟取次(店)取付工事取引取引(所)
取戻請求権問屋仲買仲立業投売品並木
縄張荷扱場荷受人荷造機荷造費(春慶)塗
(休暇)願乗合船乗合旅客乗換(駅)
乗組(員)場合羽織履物葉巻払込(金)
払下品払出金払戻金払戻証書払渡金
払渡郵便局番組番付控室引当金
引受(時刻)引受(人)引換(券)(代金)引換
引継事業引継調書引取経費引取税引渡(人)
日付引込線瓶詰歩合封切館福引(券)
船積貨物踏切振替振込金振出(人)
不渡手形分割払(鎌倉)彫掘抜井戸前受金
前貸金巻上機巻紙巻尺巻物待合(室)
見返物資見込額見込数量見込納付水張検査
水引見積(書)見取図見習工未払勘定
未払年金見舞品名義書換申込(書)申立人
持込禁止元売業者物置物語物干場
(備前)焼役割屋敷雇入契約雇止手当夕立
譲受人湯沸器呼出符号読替規定陸揚地
陸揚量両替割合割当額割高割引割増金
割戻金割安

[備考1]下線を付けた語は,「送り仮名の付け方」の本文の通則7において例示された語である。

[備考2]「売上(高)」,「(博多)織」などのようにして掲げたものは,)の中を他の漢字で置き換えた場合にも,「送り仮名の付け方」の本文の通則7を適用する。

通則7

複合の語のうち,次のような名詞は,慣用に従って,送り仮名を付けない。

〔例〕

1特定の領域の語で,慣用が固定していると認められるもの。

地位・身分・役職等の名。
関取頭取取締役事務取扱

工芸品の名に用いられた「織」,「染」,「塗」等。
《博多》織《型絵》染《春慶》塗《鎌倉》彫《備前》焼

その他。
書留気付切手消印小包振替切符踏切
請負売値買値仲買歩合両替割引組合手当
倉敷料作付面積
売上《高》貸付《金》借入《金》繰越《金》小売《商》積立《金》
取扱《所》取扱《注意》取次《店》取引《所》乗換《駅》乗組《員》引受《人》引受《時刻》引換《券》《代金》引換振出《人》待合《室》見積《書》申込《書》

2一般に,慣用が固定していると認められるもの。

奥書木立子守献立座敷試合字引場合羽織葉巻番組番付日付水引物置物語役割屋敷夕立割合
合図合間植木置物織物貸家敷石敷地敷物立場建物並木巻紙
受付受取
浮世絵絵巻物仕立屋

(注意)

1「《博多》織」,「売上《高》」などのようにして掲げたものは,》の中を他の漢字で置き換えた場合にも,この通則を適用する。

2通則7を適用する語は,例として挙げたものだけで尽くしてはいない。したがって,慣用が固定していると認められる限り,類推して同類の語にも及ぼすものである。通則7を適用してよいかどうか判断し難い場合には,通則6を適用する。

3付表の語

「送り仮名の付け方」の本文の付表の語(1のなお書きを除く。)の送り仮名の付け方による。

付表の語

「常用漢字表」の「付表」に掲げてある語のうち,送り仮名の付け方が問題となる次の語は次のようにする。

1次の語は,次に示すように送る。

つくお巡さんえる退手伝最寄

2次の語は送り仮名を付けない。

息吹桟敷時雨築山名残雪崩吹雪迷子行方

その他

11及び2は,固有名詞を対象とするものではない。

21及び2については,これらを専門用語及び特殊用語に適用するに当たって,必要と認める場合は,特別の考慮を加える余地があるものとする。

この決定は,平成22年11月30日から施行する。

この決定は,法律については次回国会(常会)に提出するものから,政令については平成23年1月1日以後最初の閣議に提出するものから,それぞれ適用する。

新たな法律又は政令を起案する場合のほか,既存の法律又は政令の改正について起案する場合(文語体の法律又は勅令を文体を変えないで改正する場合を除く。)にも,この決定を適用する。なお,この決定を適用した結果,改正されない部分に用いられている語の表記と改正される部分に用いられるこれと同一の内容を表す語の表記とが異なることとなっても,差し支えない。

署名の閣議に提出される条約については平成23年1月1日以後最初の閣議に提出されるものから,国会に提出される条約(平成23年1月1日以後最初の閣議より前に署名の閣議に提出された条約であって日本語が正文であるものを除く。)については次回国会(常会)に提出するものから,それぞれこの決定を適用する。なお,条約の改正についても,この決定を適用した結果,改正されない部分に用いられている語の表記と改正される部分に用いられるこれと同一の内容を表す語の表記とが異なることとなっても,差し支えない。

編注本稿は、以下の情報を加工して作成しました。

  • 内閣法制局「法令における漢字使用等について」
    https://www.clb.go.jp/files/topics/3485_ext_29_0.pdf
  • 文化庁「公用文における漢字使用等について」
    https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/sanko/koyobun/pdf/kunrei.pdf
  • 文化庁「送り仮名の付け方」
    https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/okurikana/index.html