公⽤⽂における漢字使⽤等について

新規制定平成22年内閣訓令第1号
本件改正(情報なし)

漢字使用について

1公用文における漢字使用は,「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号)の本表及び付表(表の見方及び使い方を含む。)によるものとする。

なお,字体については通用字体を用いるものとする。

2「常用漢字表」の本表に掲げる音訓によって語を書き表すに当たっては,次の事項に留意する。

次のような代名詞は,原則として,漢字で書く。

我々

次のような副詞及び連体詞は,原則として,漢字で書く。

例(副詞)

余り至って大いに恐らく概して必ず必ずしも
辛うじて極めて殊に更に実に少なくとも少し
既に全て切に大して絶えず互いに直ちに
例えば次いで努めて常に突然初めて
果たして甚だ再び全く無論最も専ら僅か
割に

(連体詞)

明くる大きな来る去る小さな我が(国)

ただし,次のような副詞は,原則として,仮名で書く。

かなりふとやはりよほど

次の接頭語は,その接頭語が付く語を漢字で書く場合は,原則として,漢字で書き,その接頭語が付く語を仮名で書く場合は,原則として,仮名で書く。

案内(御+案内)挨拶(御+挨拶)
ごもっとも(ご+もっとも)

次のような接尾語は,原則として,仮名で書く。

げ(惜しもなく)ども(私どもぶる(偉ぶる
み(弱め(少な

次のような接続詞は,原則として,仮名で書く。

おってかつしたがってただしついてはところが
ところでまたゆえに

ただし,次の4語は,原則として,漢字で書く。

及び並びに又は若しくは

助動詞及び助詞は,仮名で書く。

ない(現地には,行かない。)
ようだ(それ以外に方法がないようだ。)
ぐらい(二十歳ぐらいの人)
だけ(調査しただけである。)
ほど(三日ほど経過した。)

次のような語句を, ()の中に示した例のように用いるときは,原則として,仮名で書く。

ある(その点に問題がある。)
いる(ここに関係者がいる。)
こと(許可しないことがある。)
できる(だれでも利用ができる。)
とおり(次のとおりである。)
とき(事故のときは連絡する。)
ところ(現在のところ差し支えない。)
とも(説明するとともに意見を聞く。)
ない(欠点がない。)
なる(合計すると1万円になる。)
ほか(そのほか…,特別の場合を除くほか…)
もの(正しいものと認める。)
ゆえ(一部の反対のゆえにはかどらない。)
わけ(賛成するわけにはいかない。)
かもしれない(間違いかもしれない。)
てあげる(図書を貸してあげる。)
ていく(負担が増えていく。)
ていただく(報告していただく。)
ておく(通知しておく。)
てください(問題点を話してください。)
てくる(寒くなってくる。)
てしまう(書いてしまう。)
てみる(見てみる。)
てよい(連絡してよい。)
にすぎない(調査だけにすぎない。)
について(これについて考慮する。)

送り仮名の付け方について

1公用文における送り仮名の付け方は,原則として,「送り仮名の付け方」(昭和48年内閣告示第2号)の本文の通則1から通則6までの「本則」・「例外」,通則7及び「付表の語」(1のなお書きを除く。)によるものとする。

通則1

本則

活用のある語(通則2を適用する語を除く。)は,活用語尾を送る。

〔例〕
きるれるえるける

例外

1語幹が「し」で終わる形容詞は,「し」から送る。

〔例〕しいしいしいしいしい

2活用語尾の前に「か」,「やか」,「らか」を含む形容動詞は,その音節から送る。

〔例〕
やかやかやか
らからからからか

3次の語は,次に示すように送る。

す(おどかす)
す(おびやかす)



(注意)

語幹と活用語尾との区別がつかない動詞は,例えば,「着」,「寝」,「来」などのように送る。

通則2

本則

活用語尾以外の部分に他の語を含む語は,含まれている語の送り仮名の付け方によって送る。(含まれている語を〕の中に示す。)

〔例〕1動詞の活用形又はそれに準ずるものを含むもの。

動かす〔動く〕照らす〔照る〕
語らう〔語る〕計らう〔計る〕向かう〔向く〕
浮かぶ〔浮く〕
生まれる〔生む〕押さえる〔押す〕捕らえる〔捕る〕
勇ましい〔勇む〕輝かしい〔輝く〕喜ばしい〔喜ぶ〕
晴れやかだ〔晴れる〕
及ぼす〔及ぶ〕積もる〔積む〕聞こえる〔聞く〕
頼もしい〔頼む〕
起こる〔起きる〕落とす〔落ちる〕
暮らす〔暮れる〕冷やす〔冷える〕
当たる〔当てる〕終わる〔終える〕変わる〔変える〕
集まる〔集める〕定まる〔定める〕連なる〔連ねる〕
交わる〔交える〕
混ざる・混じる〔混ぜる〕
恐ろしい〔恐れる〕

2形容詞・形容動詞の語幹を含むもの。

んずる〔重い〕やぐ〔若い〕
怪しむ〔怪しい〕悲しむ〔悲しい〕苦しがる〔苦しい〕
確かめる〔確かだ〕
たい〔重い〕らしい〔憎い〕めかしい〔古い〕
細かい〔細かだ〕柔らかい〔柔らかだ〕
らかだ〔清い〕らかだ〔高い〕寂しげだ〔寂しい〕

3名詞を含むもの。

ばむ〔汗〕んずる〔先〕めく〔春〕
らしい〔男〕後ろめたい〔後ろ〕

(注意)

次の語は,それぞれ〕の中に示す語を含むものとは考えず,通則1によるものとする。

明るい〔明ける〕荒い〔荒れる〕悔しい〔悔いる〕恋しい〔恋う〕

通則3

本則

名詞(通則4を適用する語を除く。)は,送り仮名を付けない。

〔例〕

例外

1次の語は,最後の音節を送る。

便

2数をかぞえる「つ」を含む名詞は,その「つ」を送る。

〔例〕

通則4

本則

活用のある語から転じた名詞及び活用のある語に「さ」,「み」,「げ」などの接尾語が付いて名詞になったものは,もとの語の送り仮名の付け方によって送る。

〔例〕1活用のある語から転じたもの。

調
たりわりかい


2「さ」,「み」,「げ」などの接尾語が付いたもの。

暑さ
重み

例外

次の語は,送り仮名を付けない。



掛(かかり)並(なみ)

(注意)

ここに掲げた「組」は,「花の組」,「赤の組」などのように使った場合の「くみ」であり,例えば,「活字の組みがゆるむ。」などとして使う場合の「くみ」を意味するものではない。「光」,「折」,「係」なども,同様に動詞の意識が残っているような使い方の場合は,この例外に該当しない。したがって,本則を適用して送り仮名を付ける。

通則5

本則

副詞・連体詞・接続詞は,最後の音節を送る。

〔例〕

例外

1次の語は,次に示すように送る。

くるいにちにびにしくは

2次の語は,送り仮名を付けない。

3次のように,他の語を含む語は,含まれている語の送り仮名の付け方によって送る。(含まれている語を〕の中に示す。)

〔例〕併せて〔併せる〕至って〔至る〕恐らく〔恐れる〕従って〔従う〕絶えず〔絶える〕例えば〔例える〕努めて〔努める〕
辛うじて〔辛い〕少なくとも〔少ない〕
互いに〔互い〕
必ずしも〔必ず〕

通則6

本則

複合の語(通則7を適用する語を除く。)の送り仮名は,その複合の語を書き表す漢字の,それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名の付け方による。

〔例〕1活用のある語

わせるかいわせる長引若返裏切旅立
しい薄暗草深心細しい軽々しい若々しい女々しい
気軽

2活用のない語

石橋竹馬山津波姿花便卸商水煙目印
田植封切物知落書雨上がり墓参日当たり夜明かし先駆巣立手渡
わせかり
寒空深情

らしり変わり
長生早起大写
難み
乳飲無理強居振電話
次々常々
近々深々

(注意)

「こけら落とし(こけら落し)」,「さび止め」,「洗いざらし」,「打ちひも」のように前又は後ろの部分を仮名で書く場合は,他の部分については,単独の語の送り仮名の付け方による。

通則7

複合の語のうち,次のような名詞は,慣用に従って,送り仮名を付けない。

〔例〕

1特定の領域の語で,慣用が固定していると認められるもの。

地位・身分・役職等の名。
関取頭取取締役事務取扱

工芸品の名に用いられた「織」,「染」,「塗」等。
《博多》織《型絵》染《春慶》塗《鎌倉》彫《備前》焼

その他。
書留気付切手消印小包振替切符踏切
請負売値買値仲買歩合両替割引組合手当
倉敷料作付面積
売上《高》貸付《金》借入《金》繰越《金》小売《商》積立《金》
取扱《所》取扱《注意》取次《店》取引《所》乗換《駅》乗組《員》引受《人》引受《時刻》引換《券》《代金》引換振出《人》待合《室》見積《書》申込《書》

2一般に,慣用が固定していると認められるもの。

奥書木立子守献立座敷試合字引場合羽織葉巻番組番付日付水引物置物語役割屋敷夕立割合
合図合間植木置物織物貸家敷石敷地敷物立場建物並木巻紙
受付受取
浮世絵絵巻物仕立屋

(注意)

1「《博多》織」,「売上《高》」などのようにして掲げたものは,》の中を他の漢字で置き換えた場合にも,この通則を適用する。

2通則7を適用する語は,例として挙げたものだけで尽くしてはいない。したがって,慣用が固定していると認められる限り,類推して同類の語にも及ぼすものである。通則7を適用してよいかどうか判断し難い場合には,通則6を適用する。

付表の語

「常用漢字表」の「付表」に掲げてある語のうち,送り仮名の付け方が問題となる次の語は次のようにする。

1次の語は,次に示すように送る。

つくお巡さんえる退手伝最寄

2次の語は送り仮名を付けない。

息吹桟敷時雨築山名残雪崩吹雪迷子行方

ただし,複合の語(「送り仮名の付け方」の本文の通則7を適用する語を除く。)のうち,活用のない語であって読み間違えるおそれのない語については,「送り仮名の付け方」の本文の通則6の「許容」を適用して送り仮名を省くものとする。なお,これに該当する語は,次のとおりとする。

明渡し預り金言渡し入替え植付け魚釣用具
受入れ受皿受持ち受渡し渦巻打合せ打合せ会
打切り内払移替え埋立て売上げ売惜しみ売出し
売場売払い売渡し売行き縁組追越し置場贈物
帯留折詰買上げ買入れ買受け買換え買占め
買取り買戻し買物書換え格付掛金貸切り貸金
貸越し貸倒れ貸出し貸付け借入れ借受け借換え
刈取り缶切期限付切上げ切替え切下げ切捨て
切土切取り切離し靴下留組合せ組入れ組替え
組立てくみ取便所繰上げ繰入れ繰替え繰越し
繰下げ繰延べ繰戻し差押え差止め差引き差戻し
砂糖漬下請締切り条件付仕分据置き据付け
捨場座込み栓抜備置き備付け染物田植立会い
立入り立替え立札月掛付添い月払積卸し
積替え積込み積出し積立て積付け釣合い釣鐘
釣銭釣針手続問合せ届出取上げ取扱い取卸し
取替え取決め取崩し取消し取壊し取下げ取締り
取調べ取立て取次ぎ取付け取戻し投売り抜取り
飲物乗換え乗組み話合い払込み払下げ払出し
払戻し払渡し払渡済み貼付け引上げ引揚げ
引受け引起し引換え引込み引下げ引締め引継ぎ
引取り引渡し日雇歩留り船着場不払賦払
振出し前払巻付け巻取り見合せ見積り見習
未払申合せ申合せ事項申入れ申込み申立て申出
持家持込み持分元請戻入れ催物盛土焼付け
雇入れ雇主譲受け譲渡し呼出し読替え割当て
割増し割戻し

21にかかわらず,必要と認める場合は,「送り仮名の付け方」の本文の通則2,通則4及び通則61のただし書の適用がある場合を除く。の「許容」並びに「付表の語」の1のなお書きを適用して差し支えない。

通則2

許容

読み間違えるおそれのない場合は,活用語尾以外の部分について,次の)の中に示すように,送り仮名を省くことができる。

〔例〕
ぶ〔浮ぶ〕れる〔生れる〕える〔押える〕
える〔捕える〕やかだ〔晴やかだ〕
る〔積る〕える〔聞える〕
る〔起る〕す〔落す〕す〔暮す〕る〔当る〕
る〔終る〕る〔変る〕

通則4

許容

読み間違えるおそれのない場合は,次の()の中に示すように,送り仮名を省くことができる。

〔例〕
(曇)(届)(願)(晴)
り(当り)り(代り)い(向い)
(狩)(答)(問)(祭)(群)
(憩)

通則6

許容

読み間違えるおそれのない場合は,次の()の中に示すように,送り仮名を省くことができる。

〔例〕
抜く(書抜く)込む(申込む)合わせる(打ち合せる・打合せる)い合せる(向い合せる)苦しい(聞苦しい)遠しい(待遠しい)
田植(田植)封切(封切)落書(落書)雨上り(雨上り)
日当り(日当り)夜明し(夜明し)
江(入江)火(飛火)せ鏡(合せ鏡)り金(預り金)
駆け(抜駆け)し向き(暮し向き)(売上げ・売上)(取扱い・取扱)
(乗換え・乗換)(引換え・引換)(申込み・申込)移り変り(移り変り)
難み(有難み)遠しさ(待遠しさ)
居振(立ち居振舞い・立ち居振舞・立居振舞)
電話(呼出し電話・呼出電話)

付表の語

なお,次の語は,)の中に示すように,送り仮名を省くことが出来る。

支える(差支える)退く(立退く)

その他

11及び2は,固有名詞を対象とするものではない。

2専門用語又は特殊用語を書き表す場合など,特別な漢字使用等を必要とする場合には,1及び2によらなくてもよい。

3専門用語等で読みにくいと思われるような場合は,必要に応じて,振り仮名を用いる等,適切な配慮をするものとする。

法令における取扱い

法令における漢字使用等については,別途,内閣法制局からの通知による。

編注本稿は、以下の情報を加工して作成しました。

  • 文化庁「公用文における漢字使用等について」
    https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/sanko/koyobun/pdf/kunrei.pdf
  • 文化庁「送り仮名の付け方」
    https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/okurikana/index.html